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植物は自分の意思で場所を移動することができません。そのため、高温や乾燥といった厳しい気候条件や、害虫や病原菌による攻撃など、さまざまな環境ストレスにさらされながら生きています。こうした環境の中で生き抜くために、植物は長い進化の過程で独自の工夫を生み出してきました。


その代表が「植物ホルモン」や「二次代謝産物(特化代謝産物)」と呼ばれる小さな天然の有機化合物です。これらはナノサイズの化学物質で、植物が自らの体を守ったり、成長を調整したりするために欠かせない役割を果たしています。


私たちの研究室では、生物有機化学やケミカルバイオロジー、生化学といった学問を基盤にして、植物がつくり出すこれらの分子の働きを解き明かしています。さらに、新しい小分子のデザインや合成にも挑戦し、植物の生存戦略の秘密を化学的に理解することを目指しています。


研究手法は幅広く、有機合成や遺伝子操作、酵素を用いた化学実験、生物試験、天然化合物の単離・構造解析などを組み合わせています。このように化学と生物学をまたぐ学際的な研究スタイルが、私たちの研究室の大きな特徴です。